スタートアップ×DEI×連携 — 既存の壁を超えるEmpowerHER Initiativeの挑戦
2024年11月29日、スタートアップエコシステムにおける多様性・公平性・包摂性(DEI)推進を目的とした「EmpowerHER Initiative」のキックオフイベントが開催されました。このイニシアチブは、特に女性のエンパワーメントに焦点を当て、スタートアップ業界の持続的な発展と競争力向上を目指しています。


イニシアチブの背景と目的
スタートアップエコシステム協会代表理事の藤本氏は、イニシアチブ発足の背景として、男女間の起業家支援環境の格差を指摘しました。調査によると、女性起業家は男性と比較して相談できる相手が少なく、これは長年続いてきた男性中心のスタートアップ支援環境が影響していると説明されました。
なお、イベント当日は小池百合子東京都知事も会場に立ち寄り、参加者を前に挨拶する一幕もありました。スタートアップとダイバーシティの両面で注目度の高いイニシアチブの船出を象徴する場面となりました。

藤本氏は「女性だから」「男性だから」という枠組みを超え、多様性全体を包括するアプローチの重要性を強調。「EmpowerHER Initiative」は、既存の団体や企業、プロジェクトと連携し、個々の活動を大きなネットワークとして繋げることで、スタートアップエコシステムの進化と広範なダイバーシティ推進を目指しています。

セッション1:子育てとビジネスの両立を可能にする環境づくり
最初のセッションでは、01Booster スタートアップエコシステムデザイン部の岩本明希子氏をモデレーターに、Headline Asiaプリンシパル/IVS代表の島川敏明氏、CIC Tokyoコミュニティオペレーションリードのイケグチ クリスタル氏、株式会社アイスタイル執行役員/CHROの勝並明子氏が登壇しました。
各パネリストは自社での取り組みを紹介。IVSでは会場内に託児所や子供向けプログラムを設置し、CIC Tokyoは礼拝室やバリアフリー対応、育児支援、バイリンガルスタッフによる対応など、多様なバックグラウンドを持つ人々が活躍できる環境づくりを進めています。アイスタイルでは、女性従業員が6-7割を占める環境下で、プレイルーム設置や柔軟な休暇制度など、現場のニーズに基づいた支援制度を整備していることが紹介されました。
パネルディスカッションでは、制度づくりの背景にある考え方や、取り組みによる変化、実装における課題解決方法について議論。会場からの質問に応える形で、働きやすさと働きがいの違い、スタートアップならではの課題と解決策、組織の規模や成長段階に応じた支援の在り方についても意見が交わされました。

セッション2:宇宙産業のDEIと持続可能な未来
2つ目のセッションでは、山田進太郎D&I財団COOの石倉秀明氏をモデレーターに、株式会社アクセルスペースCHROの濵田牧子氏とインターステラテクノロジズ株式会社PR・マーケティング担当の髙橋聡実氏をゲストに迎え、宇宙産業の可能性について議論しました。
セッションでは、JAXA等の国の機関だけでなく民間企業による宇宙産業への参入が増加している背景や、現在の宇宙産業が30年前のインターネット黎明期に似ている点が指摘されました。アクセルスペースやインターステラテクノロジズのような企業は宇宙産業のインフラ部分を担っており、このインフラが整備されれば、その上で多様なサービスが展開される可能性が高いという展望が示されました。
また、宇宙産業といっても基本的には製造業と大きく変わらず、一般的な産業と同様のキャリアパスが形成されつつあることが紹介され、宇宙ビジネスが身近になってきていることが伝えられました。

セッション3:多様な起業家が育つSUエコシステムとは?
最後のセッションでは、グロービス ベンチャー・サポート・チームのG-STARTUP事務局長である田村菜津紀氏がモデレーターを務め、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の戸田成治氏、ジェトロ イノベーション部の浅野響子氏、フィガロジャパン編集部BWA事務局長の藤本淑子氏、Incubate FundのIF Women's communityを担当する松本美鈴氏が登壇しました。
前半では各社のプログラムの特徴や開始した理由、きっかけについて掘り下げ、後半は多様な起業家が活躍するために必要な支援について議論が行われました。特に女性起業家や多国籍起業家を支援するインクルーシブなプログラムやコミュニティの構築方法について、実践の場に向き合う担当者から具体的な施策や課題、ノウハウが共有されました。
イニシアチブの展望
藤本氏は「今日がこの活動のスタートであり、私たち一人一人がアイデアを出し合い、協力し合うことで、より大きな価値を生み出していける」と締めくくりました。現在すでに多くの団体や個人が賛同を表明しており、今後も賛同者が増え、活動の幅が広がることが期待されています。Webサイトを通じて個人や団体の参加も受け付けており、異なるコミュニティ間の連携を通じて、共通の目標に向かって協力していくことの重要性が強調されました。

EmpowerHER Initiativeは、スタートアップエコシステムにおける多様性推進の新たな起点として、子育てとビジネスの両立、宇宙産業における多様性、そして起業家支援の実践など、様々な角度からDEI推進の可能性を探る意義深いキックオフとなりました。今後の展開に注目です。

